冬は暖かく

昔から季節感がない男、とよく言われております。冬でもTシャツ一枚が多いですし、外出時もTシャツ一枚か、世間体を気にしてその上にダウンジャケットを羽織っていくだけです。寒いのが大丈夫というよりは、長袖があまり好きではないので、セーターは数年着たことがありません。部屋の中でも厚着で暑くなるのが嫌いで、普段から軽装です。ただ訪問診療に出かけたある日のこと、患者さん宅のベットの横に貼り紙があり、おそらくヘルパーさんの私への気遣いでしょうか、『山田先生が寒いので必ず暖房をしてあげて下さい』という患者さん宛てのメモを見た時、さすがに申し訳なく感じましたが… 最近は訪日外国人、特に欧米人が東京や京都の街を冬でもTシャツ一枚で観光している姿を見て、『やっと俺の仲間が増えた』と少し喜んでおります生粋の米子人であります。

冬になると心疾患や脳血管疾患の患者さんが増えます。私が一応専門としている心不全の患者さんが増加する原因に関していえば、寒冷による血管収縮(血圧上昇)、塩分過多(鍋など食事内容の変化)、肺炎などの感染症の増加などが挙げられます。

上記は厚生労働省の主な死因でみた月別の死亡指数のグラフをみていますが、男女とも悪性新生物(がん、肉腫)を除くとUの字になっており、冬季になると心疾患、脳血管疾患の死亡が増えることが分かります。多分こういったデータをみると、雪や寒さが厳しい北海道や東北地方は大変だろうと想像される方も多いのではないかと思います。しかし実際には冬が厳しい地域だけで死亡率が上昇する訳ではないということを取り上げたのが、先日の1月17日に放送されたNHKの『クローズアップ現代』でした。

上の図はNHKの『クローズアップ現代』のホームページからの抜粋になります。これでみますと北海道の冬の死亡増加率は10.3%に対して、鳥取県は19.1%と明らかに多いのです。鳥取県に限らず増加率が高い地域には北関東、四国、九州など、冬も温暖とされる地域も多く含まれています。温暖な地域が北海道より有意に死亡率が高い理由に関しては、以前より室温が注目されています。北海道の冬のリビングの平均室温が19.8℃に対して、鳥取県の平均室温は15.6℃と4℃以上も低い結果になっています。これは北海道の皆さんが暖房などしっかりかけているというよりは、北海道を含めた冬の寒さが厳しい地域においては断熱など寒冷に対して十分な対策をされた住居に住まれていることが原因として考えられています。

番組では断熱改修の提案や窓にカーテンを付ける工夫などが紹介されてました。しかし実際に訪問診療をしておりますと皆さん厚着や電気毛布などはされておりますが、暖房やストーブそのものをまずしていないご家庭、特に独居の方が多いことに気付きます。電気代の高騰や二酸化炭素の排出削減の問題などありますが、まずは暖房をちゃんとつけることを特にご高齢の方には提案したいと思います。Tシャツ一枚男の話しに説得力はあまりありませんが。

 

寒波襲来

 予報通り、なかなかの寒波です。明日の早朝からの雪かきも考えて、今日は医院に泊まることにしました。下着などを買いに久々に近所のコンビニまで歩いてみましたが、滅茶苦茶遠く感じました。皆さん、当たり前のことですが暖かくして寝てください。雪かきは無理しない程度に最低限、休憩しながら行いましょう。明日もう薬がない、または症状があってどうしても診てほしい方は別として、無理をしてまで医院に来ないでくださいね。雪が溶けてからの来院でよいと思います。

大事な話しです

『何か変わったことがあったら何時でも連絡してくださいね』

 よく医者から言われる言葉だと思いますが、私もよく言います。ただ実際には遠慮されるのか、朝まで我慢されたり、休日に悪くなっても休み明けに受診される方が当院でも多いように感じます。誰が見ても刻一刻を争うような、救急車を呼ばなければならない場合は先に救急車を呼んで欲しいですが、受診すべきか判断がつかない場合も是非連絡してほしいです。自分が専門とするような心不全などの循環器疾患、呼吸器疾患などは何もしないで待っていて改善するというような病気はほとんどなく、むしろ待つことで悪化しますし、いかに早めに治療を開始するかが重要になります。これは口だけになるのは嫌いですので、本当に医院に連絡頂きますよう御願いします。

 というと、夜とか休日に診療するの大変でしょう?と言われることがあります。人によるかもしれませんが、自分は全くの逆です。悪くなった状態で普通の診療時間に来られると完全にそちらに労力をとられますので、他の患者さんの外来診療も並行しながら行うことは非常に大変なことです。診療時間中に悪くなってのことなら仕方ないですが、ずっと我慢してから外来に来られるくらいなら、夜間、休日に対応した方がこちらにとってもまだ気が楽ですし、患者さんにとっても良い結果になると思っています。

 これは言うべきことか迷いましたが、一番やってほしくないことは朝の早い段階からかなり調子が悪く、改善しないので結果的に夕方に受診されるパターンです。これは夕方の診療は当院は困ります、ということではありません。自分の医院で診療が完結出来れば、何時でも問題ありません。しかし状態的にこれは病院に紹介、または入院した方がよい場合、病院は午後で既に外来の時間外、ないしは当直の時間帯になっていることが問題なのです。紹介する側としても時間外ということで気は使いますし、病院側も専門外の当直の先生が診る、または専門の先生に連絡して来てもらうということを考えると、病院側にも負担をかけますし、患者さんが希望される病院に紹介できない場合もあるからです。通院手段等の事情の問題もありますが、朝から明らかに調子が悪ければ、出来れば午前中の受診をお願いしたいと思います。ただ何でもかんでも受診を勧めている訳ではありません。受診に迷うようなことがあれば、まず相談の電話でもかけて頂ければ、と提案します。

 

芝浜

 昔ミヤコ蝶々さんと立川談志が対談しているテレビ番組を見ていて(こう書くと本物のオジサンになったことを自覚します)、たまたま古典落語の『芝浜』について語っていたことが印象に残っています。その時私はたしか小学生でしたが、ミヤコ蝶々さんが談志の『芝浜』を絶賛していて、いつか『芝浜』を聞いてみたいと思っていました。『芝浜』はご存じの方も多いと思いますが、ごくごく簡単に説明すれば、酒で失敗ばかりしている魚屋で行商をしている男が、妻の機転と夫を思っての嘘によって、酒をやめて懸命に働き始める、いわゆる人情噺です。医者になって大分たってから、実際に立川談志の『芝浜』を聞きましたが、私は非常に単純な人間でして、それを聞いて以来酒を飲むのをやめてしまいました。

 ちなみに若い頃は別として、私ももういい年ですので酒で大失敗したりしたことはありませんし、『芝浜』を聞くまで不真面目に仕事をしていた訳ではありません。おそらく本当にやめてからはコロナの前からですので、5年くらい経つのではないかと思います。元々酒は強くないですが、酒は好きです。たまには今でも飲みたくはなりますが、ただ仕事にはマイナスになることが多いです。特に仕事で困るのは、時間外に呼ばれた時です。当然飲酒で診療そのものに影響が出ないとも言えませんし、問題は移動です。何かあればタクシーや代行を使えばよいという考えもありますが、必ずしも時間や天候によっては今すぐにはタクシー、代行が来てくれないというのは皆さん理解して頂けると思います。特に訪問診療をやっていますと患者さんの家に夜間に緊急で往診し、一度患者さんの家に行ってそれで診療が完結する訳ではありません。再度医院に戻ってから点滴や薬を取りに行ったり、何回か往復することがありますので、自分で運転しないとかなり不便です。いつ呼ばれるか分かりませんし色々と考えて面倒になり、さらに『芝浜』を聞いて、お酒は完全にやめてしまいました。

 ただそれで困るのは酒の付き合いです。明らかに酒豪の集まりのような会に行くのは少し憚られますし、元々社交性が高くないですので、交友関係が段々と途絶えつつあるのは感じます。今はたまたまコロナ流行期で忘年会、新年会などの行事の誘いがないため、かえって気になりませんが、今後はどんどん人間関係が寂しくなっていくことを懸念しております。ノンアルコールを飲み続けますので、是非食事会など御誘いなどありましたら、ご連絡ください。

 

本年もよろしくお願い申し上げます

 新しい年が始まりました。まだ開業医になってから私自身は1年もたっていませんが、新医院が立ちあっという間にここまで来てしましました。まだまだ出来ていないこと、やりたいことがたくさんあります。これまで以上に皆様の期待に応えれますよう頑張っていきます。本年もよろしくお願い申し上げます。

インフルエンザ

他の地域の話しだけだと思ってましたが、ついに久々にインフルエンザの患者さんが出てくるようになりました。年末年始になり、帰省客の方などインフルエンザ流行地域からの行き来が多くなってくるため、場合によっては発熱患者さんにインフルエンザの迅速検査も行う場合も今後ございますのでご了承ください。新型コロナウィルスのPCR検査に依存していた発熱患者さんの診療方針も若干変更せざる得ないかもしれません。不安を煽るつもりはありませんが、患者さんの状況も踏まえて対応したいと思います。

 

格言

学生時代によく将棋をやっていた時期がありました。囲碁は全く出来ません。今は何十年も将棋を指してないので棋力は何ともいえませんが、誰にも勝てそうにないので盤に向かってみる気すら起りません。相当昔に博多大丸(だったと思います)のイベントで『ひふみん』こと加藤一二三棋士からサインをもらったこともあります。その後、まさかあんな感じで世に出てくるとは思いませんでしたが、その当時から将棋界では若干異質な存在であったことは間違いありません。元々好きな棋士は谷川浩司十七世名人、羽生善治九段の二人で、子供の頃から大ファンです。二人の魅力はいろいろありますが、共通して好きなことは格言の素晴らしさです。当然将棋に関しての格言なのですが、ほぼ実生活、人生に共通して当てはまることばかりで、二人のインタビューであったり、書物にはよく目を通しています。今ならネットで検索してもらえれば、格言の一部はいくらでも出てくると思いますが、窮地に立たされた時の心構え、情報に埋もれ過ぎないこと、決断することの大切さは本当にいつ読み返していても、自分自身に言われているような気がして、二人の格言は非常に大事にしています。

 一流の勝負師の言葉は棋士であれ、スポーツ選手であれ、金言が多いです。当然のことですが、羽生九段と同じような内容の言葉を私のようなものがいきなり発しても、同じ価値は持ちません。昔、学校の国語の教科書で大岡信さんの『言葉の力』という随筆を読んだことを思い出します。その中で『言葉というものの本質』が『それを発している人間全体の世界をいやおうなしに背負ってしまう』と書かれていますが、言葉の背後に人間性であったり、生き方が反映されるからこそ言葉は意味を持ち、重みを持ちます。

 通常診療で心不全、糖尿病、高血圧などの患者さんに生活指導を行っております。開業医になってからは自分が子供の頃から知っている患者さんも来院されるようになり、そういった方にも指導を行う機会があります。ただしどんなに頑張って色々述べたところで、人間性の薄さはもう多分バレていますので、あんまり言葉が心に届いてないのではないかと不安になることもあります。主に運動や食事療法の大切さを説いていますが、まず自分が不摂生な人間ですので最近は好きなコカ・コーラも少しずつ控えるようにし、多少夜に散歩程度ですが運動もするようにしました。不摂生な人間だからこそ患者の気持ちが理解できる、ということもありますが、まず自ら節制に励み、生活指導の言葉に重みを持たせたいと思います。

 今年もあとわずかになりました。通常診療は12月30日の午前までですが、何か急患などの御用がありましたら何時でもご連絡ください。

 

診察券変わりました。

『お知らせ』でも書きましたが、診察券が変わりました。『医院が新しくなったら、診察券は変わりますか?』患者さんから質問を受ける今年の秋まで、実は自分の医院の診察券を1回も見たことがなく、一度みて本当に驚愕しました。旧診察券と新診察券が以下の写真になります。

神社の正月のおみくじの方が数倍立派で(引き合いに出して神社には失礼かもしれませんが)、まさかこんなものと知りませんでした。急いでパソコンで作って、発注をかけましたが意外と時間がかかりました。おそらく今後電子化に伴って、診察券も進化していくものと思いますが、今の所はとりあえずこんなところでお願いします。

この時期にやってはいけないこと

 米子も今年になって初めて冬らしい雪が降りました。久しぶりに1時間程度、自院周囲や駐車場の雪かきをやりました。この程度ならまだ大したことないと思っていましたが、夕方から全身がかなり痛くなって動けないため自宅に戻れず(実際には動けます。構ってほしいだけです)、医院で横になっています。雪かきをして私のように疲れる方もおられると思いますが、実際雪かきがどれくらいの負荷量になるか皆さんご存じでしょうか?

 メッツ(MET)という運動強度の指標があります。metabolic equivalentの略で,40歳代、体重70kgの白人男性が座位でいる時に体重1kgあたりに身体に取り込まれる酸素摂取量(3.5mL/kg/分)を1METとし、その運動で何倍のエネルギーが消費(酸素摂取量)するかを運動強度として示した単位がMETs(複数形)となります。

 上の図は日本循環器学会のガイドラインからの抜粋ですが、雪かきは6-7METsの運動強度となっております。循環器疾患の心臓リハビリにおいて一般的に3.0 MET未満の運動は「低強度」,3.0 MET以上6.0 MET未満の運動は「中強度」,6.0 MET以上の運動は「高強度」と表現され、雪かきは「高強度」の運動に分類されます。元気で基礎疾患がない方にとってはあまり問題ないですが、心不全などの心疾患を抱えた方が寒い中1時間とは言わないまでも、何十分も雪かきをすればどうなるか、当然心臓に負荷がかかり心不全は悪化します。心臓にとって運動療法は大切ですが、動きすぎ、過活動は心不全悪化の原因の一つです。毎年雪かきを契機に心不全の悪化で入院する方は少なくありません。心不全で通院の方、出来る限り、いや絶対雪かきはやめましょう。ただ当然一人暮らしの方もおられます。そういった場合は必要最低限の雪かきを休みながら行うか、近隣に住む親族の協力を仰ぐことなどを提案します。

 米子から離れた地域に住む数少ない友人、知り合いもこのブログをたまにですが、見てくれているようです。ただし私があまりにも田舎の写真ばかり出しているので、『生活大変でしょう』『車ないと絶対生活出来ないよね』など心配を頂くことがあります。今後は郷土の名誉のためにも、もう少し(数少ない)都市部の写真を厳選して載せたいと思います。

30分おき

 新型コロナウィルス感染症の患者さんの増加の勢いが止まりません。夜間に新患の方で発熱で診てほしいと要望も多いです。開業医でコロナウィルス感染症の診療でつらいことは正直に申しますと、PCRの結果待ちです。抗原検査は10分程度で結果は判明しますが、感度が高くないため(感染していても陽性にならない場合がある)、基本的には唾液か鼻(鼻咽頭)からのPCR検査を行っています。PCR検査は院内で行っている訳ではなく、検査委託会社(アールゼロ)に検体を提出して検査結果を待っています。日中はよいですが、問題は夕方の提出(締め切りは17時まで)になるといつ結果が判明するか想定できません。

 これは検査会社が悪い訳ではないですが、今まで一番遅かった時の判明が翌日の午前4時でした。早いときは3-4時間程度で判明することもあります。時々患者さんから結果に関して催促の電話がありますが、これは自分たちも分かりません。そこまで遅かったら明朝に報告、という考えもあります。しかし試験や早朝の出勤などで少しでも早く結果を知りたい方もおられますので、途中仮眠をとりながら結果が判明次第、患者さんに報告しております(さすがに午前4時の際はショートメールでまず一旦報告としました)。結果は検査会社からFAXとメールの両方で送られてきますが、FAXの方が音で気づくことが多いので、ひとり院内に残って本を読んだり、(非常に真面目な)動画を見ながら待つことが多いです。一応音はしてなくても結果が来てないかどうか30分おきくらいにFAXを確認してしまいます。ここで思い出すのが、私が大学生の頃夢中で見ていた北海道のテレビ番組、大泉洋らが出演しているバラエティー番組『水曜どうでしょう』です。

 念願のオーロラを見る目的の旅『北極圏突入~アラスカ半島620マイル編~』の最終話で、真夜中に30分おきオーロラが出ているか、一人ずつ極寒の外に出て確認しにいく場面があります。オーロラは現地に行ってもなかなか見れないのは知ってましたが、実際オーロラは真夜中に晴れていないと見えません。確実に見るためには夜寝るか寝ないかにもかかっており、30分から1時間おきに窓からではなく直接外に出て確認するようです。番組では眠いので途中から虚偽の報告を言いはじめ、結果的にオーロラは見ずに部屋でトランプしただけの回があったのを思い出して、私も眠い中約30分おきにニヤニヤしながらFAXが来てないか確認してます。そして一人睡魔というダメージを喰らって、翌日診療を行っております。

 といっても毎日そんな大変な訳ではありません。たまにそんなこともあるくらいで、非常に大袈裟なヤツです。すいません。そしてそんな中(無理やりの展開ですが)看護師さん、事務員さんからうちの医院に車椅子をプレゼントしてもらい、非常に喜んでいます。今までうちに車椅子はありませんでしたが、新医院はレントゲン室までは比較的距離がありますので役に立ちそうです。移動に必要な方などにはこちらからも声をかけさせて頂きますが、必要なご家族様、付き添いの方がおられましたらスタッフに連絡してください。

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