お別れの季節に思うこと

 米子市内の桜も満開です。明日から4月で新しい年度のスタートです。私も開業医になってから1年がたちます。医院のスタッフが新年度で変わる訳ではありませんが、出入りされる製薬会社さんや医療機器メーカーさんの営業の方、また場合によっては患者さんも転勤などでお別れになることがありますので、寂しさを感じることもあります。勤務医時代、言われてつらかった言葉の一つが『先生、最期まで診てくださいね』と患者さん本人、またはその家族から不意に言われることでした。患者さんが私に気を使って頂いての発言であったとしても、そういわれることは非常に光栄なことです。ただし私のように大学の医局(私なら鳥取大学医学部病態情報内科学講座:旧第一内科で循環器内科と内分泌代謝科が含まれます)というものに入局している者にとっては、基本的には医局の人事で勤務先、転勤先が決まりますので、私の意向だけではその病院に留まることは出来ないのです。

 更に実家が開業医であったこともあり、勤務医時代に出会った患者さんをずっと今後も診ていく、というのは実際には約束できませんでしたし、その患者さんには何て言っていいのか、苦笑いを浮かべながら何も言うことは出来ませんでした。開業してよかったことの一つは、その悩みから解放され、今後患者さんとは長いお付き合いができることです。その分勤務医時代とは異なる責任の重さも感じます。訪問診療で終末期の患者さんを診させて頂くことがありますが、勤務医時代の時のように学会などの出張の際に代理の先生にお願いしたり、当直の先生に初期対応して頂いたり、なんてことはもう出来ません。逆に『先生、最期まで診てくださいね』と今言われたら、苦笑いを浮かべることもなく、『私でよければ、よろしくお願いしますね』とはっきりと言うことができます。

 一年たって、新年度になって、何か特別な変化が今のところある訳ではありません。ただ患者さんにもっともっと満足して頂けるよう努力に励みたいと思っております。今後ともよろしくお願いします。

 

 

 

不来方のお城

 不来方(こずかた)の お城の草に 寝ころびて  空に吸はれし 十五の心

 大学時代を岩手県の県庁所在地である盛岡で過ごした私は、東北新幹線で盛岡に初めて到着した日にまず不来方のお城があった盛岡城跡公園(岩手公園)を歩きました。この歌を中学生の時に読んで、盛岡に行くまでは石川啄木の純朴にも感じられる作品に敬愛の念を抱いておりました。寝ころびこそはしなかったものの、季節外れの春の雪が降り積もる公園内をゆっくり雪を踏みしめながら散歩したことを昨日のことのように覚えています。しかしその後、大学の文学の講義などで啄木の人物像を段々と知るうちに、ブログに書くことも憚れるような倫理的にはかなりアウトな人物であることを知り、イメージが全く変わりショックを受けた覚えがあります。

 先日行われましたWBCでは岩手県出身の大谷翔平、佐々木朗希両選手が大活躍しました。まるで漫画のようなストーリー。米国との決勝戦の最終回、大谷とトラウトの対戦は、医院の待合室のテレビで患者さんやスタッフのみんなと観て、最後大喜びしました。医院が暇なことがバレますが、これはたまたまということです…。。今岩手にいたら盛り上がってるんだろうな、と思いながら久々に岩手や盛岡のことを思い出していました。佐々木選手の郷里である陸前高田市に関しては大学3年生の地域医療実習で県立高田病院でお世話になり、震災後に佐々木選手が過ごした大船渡には、近隣に五葉山という低山ではありますが有名な山があり、私も好きで何回も登ったことがある、どちらも思い出深い街です。これは私だけの意見かもしれませんが、大谷、佐々木両選手とも私が思う岩手らしい人物像そのものです。朴訥で多くを語らず、温厚で、物事に真面目に取り組む…。無論みんなそんな人間ばかりではありませんが、ただこれは我々、鳥取県人の人物像ともかぶります。私のように社交性のない、まったくよそ者が岩手で何とか6年間生活出来たのも、そういった似通った土地の人柄もあったのかもしれません。

 昨日の日本海新聞に住吉小学校のスポーツ少年団野球部に7人しか部員がいないことがニュースになっていました。住吉小学校は米子市内でも比較的生徒数の多い小学校で、このニュースには私も驚かされました。私が小学生の頃、隣の義方小学校は今の住吉小学校とさほど変わらない生徒数だったと思いますが、同校にスポーツ少年団の野球部が複数個存在していましたし、どうも少子化だけの問題ではないようです。19日には春の選抜高校野球の初戦で鳥取城北高校が愛知県の東邦高校に惜しくも負け、WBCとは反対に県内の野球には明るい話題が今のところあまりないようです。

 岩手県では最近は大谷翔平選手の母校である花巻東高校や盛岡大学付属高校などが全国でも話題になるような強豪校になり、最近プロ野球選手も多数輩出しています。ただ大谷選手の生まれた奥州市(旧・水沢市)、佐々木選手が過ごした大船渡市も決して元々特別野球がさかんな地域ではありませんし、一時期岩手県の高校野球も一回戦もなかなか勝てない時期が続いた時がありました。鳥取県だから出来ない、ということは決してないと信じています。私のようなものに出来ることは地域の選手やチームに関心を持ち応援することだけですが、こういった些細なことも地域スポーツにとって大事ではないかと最近思ってます。今後鳥取からも世界に活躍できる選手、全国で勝てるチームがいつか出てくることを楽しみにしてます。

 

 

 

興味

 そんなに多くはないですが、最近このブログを『読んでいますよ』と言われることがあります。せっかくホームページを作ったのに全然更新しないのもどうかと考えて始めたブログではありますが、読まれていないことを前提でほとんど思いつくままに書いております。気を付けていることといえば、あまり不謹慎にならないように、そこだけは注意しています。ただ本来趣味が少なく教養の浅い人間ですので、ブログの題材がないことに最近気づいてきました。車、服、グルメ、家電…など本当に心の底から興味がないことが多く、あふれ出るような教養もありませんので、段々と書いていると本当に薄っぺらい、他人から見たらつまらない人間であることを改めて自覚しています。

 問診の大切さというのは以前も書いたことがありますが、問診の際に現在の職業や仕事内容、家族構成に関しても尋ねることがあります。これは特に心臓の病気に関しては非常に大事になることがあります。例えば50代の男性が『仕事中に息が切れる、胸が痛い』という訴えで受診されるとします。この男性が事務系の仕事なのか、何十キロの荷物を運ぶ運搬の仕事なのかで全く話しが違います。事務系の仕事であれば日常生活レベルの動作で症状が出ていることになりますので、もし心臓の病気であれば緊急性が高いことになります。一方運搬の仕事の方でいえば、病気の重症度によっては仕事内容を継続すべきかどうかの問題になってきます。家族構成に関しても独居なのか、独居でなければ家事を誰が行っているのか、本人の今後の生活を考える上で非常に重要です。また高齢の方であれば、家の間取りもある程度大事で、玄関先に段差はあるのか、ベットからトイレは近いのか、自宅の二階に行くことはあるのか、など結構踏み込んだことも聞く場合がありますが、これは生活指導や教育、介護サービスなどの介入という点では必須の内容になります。

 ただし忘れてはいけないのは、プライバシーの問題です。人によってはかなり立ち入ったことを聞かれるので不快感を感じる方もおられるでしょうし、家族関係が複雑な場合などは特に、ある程度線引きをして踏み込むラインを決めなくてはいけません。病気の話しだからということを理由に、何でもかんでも聞く訳にはいかないのです。また個人情報の流出といった点にも注意しなくてはいけませんので、自宅などで仕事の内容をほとんどしゃべることはありません。そういった注意点はあるものの、単に病気だけを診るのでなく、バックグランドを含めたその人自身を診るということは心臓の病気であったり、糖尿病であったりの診療の醍醐味のように感じています。職業的な意味として、他人に興味がないと出来ない仕事だと個人的には思っています。

 あくまでも職業としてで、普段から世間一般の人の観察をしている訳ではありません。休みの日は部屋にこもって、ただただ本を読んだり、YouTubeを見たりの陰キャの代表です。ただ数年たって、サングラスをかけて高級車を運転してみたり、都内の高級外資系ホテルで会食している写真を調子に乗ってブログにアップし始めたら、『お前、昔はこんなこと書いてたぞ』ということでこのブログの内容を私に見せてやってください。まずそうなることはなさそうですが。

 

 

ご迷惑をおかけしました

 一般診療の休診で皆様に大変ご迷惑をおかけしました。3月6日からは通常通りの診療体制に戻ります。時間がたつのは早いもので、もう3月。皆さんには信じられないかもしれませんが、まだこの年齢になっても受験生の気分が完全に消えないもので、先日は日本海新聞に掲載された鳥取大学の前期試験の問題にも思わずペンを持って挑戦していました。まあ、数学に関しては全くといっていいほど解けませんでしたが。この時期になると毎年なんとなく気持ちがそわそわして落ち着きません。ただでさえ落ち着きがない人間なのに…。といっても診療には全く影響はございませんので、皆さん安心して受診してください。来週からまたよろしくお願いします。

診察時間

OFFICE HOURS
診察時間 日祝
8:30 - 12:30 -
14:00 - 18:00 - - -

※日・祝、木曜・土曜午後休診

アクセス

ACCESS

〒683-0811 鳥取県米子市錦町1丁目2313-9 
〈駐車場13台〉

Googlemapで見る

お問い合わせTEL

0859-32-2355