内覧会

 9月24日、25日の両日に医院新築の内覧会を開かせて頂きました。まだ医療機器などの搬入前の内覧会ではありましたが、医療関係の方、ご近所の方、多数の方に参加いただきました。本当にありがとうございました。

 実は今回自分も医院の中を見るのは初めてでした。新しい医院でのスタートは11月1日からですが、あらためて頑張る気持ちが強くなりました。スタッフ共々、新しいスタートに向けて今後とも更に頑張っていきます。

 

相棒

診療にとって患者さんに対しての聞き取り、いわゆる問診は非常に重要です。内科の患者さんの訴えの多いものの一つとして頭痛、胸痛、腹痛など痛みが挙げられると思いますが、痛みの問診に重要なポイントとしてOPQRSTというものがあります。

①Onset(開始):痛みはいつ始まり、いつピークだったのか?、➁Palliative/Provocative(寛解、増悪):痛みの軽減、増悪の有無、それに関わると思われる要因、③Quality(質):痛みの性質は?、④Region(部位):痛みの部位はどこか?、⑤associated Symptoms(随伴する症状)、⑥Time course(時間経過):痛みは持続性のものか? 周期的なものか?などの6項目の問診ポイントで、それぞれの頭文字をとったものがOPQRSTになります。

心臓の血管が詰まる心筋梗塞という病気があります。たまに『テレビを見ていたら10秒くらい胸チクチクするような痛みがあった』という症状で心筋梗塞を心配されて来院される患者さんがおられます。こういった経過では心筋梗塞である可能性はかなり低く、例えば実際の典型的な症状ですと、

①開始:1週間前にも同じような痛みがあり、今日突然始まった

➁寛解、増悪:トイレなどに動くだけで余計ひどくなる。安静にしている方が楽。

③質:締め付けるような胸の痛み

④部位:左胸全体に痛みが広がり、顎や左肩にも感じる(放散痛)

⑤随伴症状:冷や汗や吐き気もする

⑥時間経過:30分以上持続している

となるとかなり心筋梗塞が疑わしい問診結果になります。心筋梗塞の診断では心電図は必須ですが、心電図で診断できない心筋梗塞もあります。こういった質問事項をまず行うことで、心筋梗塞を疑っての治療と並行して他の検査、専門医療機関への紹介も考慮して診療を行います。

右の下腹部が痛いというと一般の方でも盲腸(一般的には急性虫垂炎、といいます)を心配される方が多いと思います。盲腸に関してみぞおちの痛みや嘔気から始まり、それが徐々に右下腹部に移動するのが一般的で急に腹痛を自覚する病気ですが、例えば『さっきから突然』、また『何時何分』から突然痛くなった、といったように発症時間が分単位ではっきりしているような突然発症の場合は『盲腸』である可能性はやや低くなり、他疾患も考慮して診療を行います。病気には必ず非典型という、一般常識とは異なる経過で発症する場合もありそこが難しいところですが、問診が重要であることは変わりありません。

問診とは言いませんが、大事なことに『世間話し』があります。あんまり書くと、こいつそんなこと考えながら診療してたのか、と手の内をみせるような感じになりますので詳しく書きませんが、よくあるのは認知症の程度をみるための『世間話し』です。認知症の検査というのは一応長谷川簡易知能評価スケール、MMSEといった代表的検査がありますが、毎回診察ごとに検査するものでもありませんので、付き添いの家族さんにも最近の様子を聞いて、日時などの見当識の確認に加え、最近起こったニュースなどを聞きながら記憶や話し方(流暢かどうかなど)を評価しています。

私は水谷豊主演のドラマ『相棒』の大ファンなのですが、私の患者さんでも『相棒』を欠かさずみているという高齢の女性の方がおられました。よく『相棒』についてお話しもされていたのですがある日のこと、患者さんの先週みた『相棒』の話しの内容が私がみたものと全く異なる内容だったことがありました。『先週のですよ?』と私が念を押しますが、『先生の方が違うよ』とはっきり言われます。今まで明らかな認知症は認めなかったものの80歳近くにもなられ、ある程度認知症が進んできたのかと、これは今度の診察では簡単に認知症の検査でもするかと考えておりました。しかし途中でこれは認知症が原因ではないことが分かりました。

私は日曜日の昼に山陰中央テレビで本放送より約半年〜1年遅れの『相棒』を見てましたが、患者さんは水曜日21時にケーブルテレビのKSB瀬戸内海放送(岡山・香川のテレビ朝日系列)で現在放送中の『相棒』を見ておられたことが分かったからです。それは当然話しが噛み合うはずがありません。その後我が家もケーブルテレビに加入し、現在では瀬戸内海放送、テレビせとうち、サンテレビなども毎日楽しく拝聴させて頂いております。寺脇康文が復帰する『相棒 season21』、今から大変楽しみです。でもそろそろ終わるんじゃないかと心配ですが。

新時代

米子、大分、広島、福山、大阪、盛岡…

 自分の今まで住んだ街を列挙してみましたが、住んだ街に全てにいろんな思い出があり、本当に大好きな街ばかりです。それぞれ地域性は異なりますが、大げさではなく全ての街を第2の故郷のように思っています。ただ移住した当初、住んだ土地の人達とすぐ仲良くなることは自分の性格上なかなかありません。まずは最初の関門として自己紹介、そして大体出身地の話しになります。『へー、鳥取。田舎でしょ?』『米子、あー、聞いたことある。』『砂丘とか大山とかあるんだよね』当時の私にとってこの程度で自分の郷里の話しが終わればよいですが、私が一番嫌だった質問は『鳥取の有名人って誰だっけ?』という質問です。

 『ゲゲゲの鬼太郎の作者、水木しげるかな』そういって話題を早めに切ってました。当然、鳥取県出身の方で他にも有名な方は当然たくさんおられます。しかし当時私が若い頃に、同じ世代、または全盛期で活躍している鳥取県の芸能人、文化人、政治家はほとんどいませんでした。これは個人的な意見ではなく、おそらく私の同世代の方なら分かって頂けると思います。有名人がいないことに加えどこに行っても米子より大きな街ばかりでしたので、正直どこか委縮してましたし郷里の話は避けてました。田舎だし、有名人も出てこない、なんかつまらん街だな、と若い頃は米子のことをそう思ってましたし、そんな街の出身だから自分もダメなんじゃないかと、米子に責任転嫁するようなクズ人間でした。

 しかし今はどうでしょうか。自分が若い頃には想像がつかなかったほど、米子、またその周辺の町から多数の有名人が輩出されています。Official髭男dismの藤原聡、松浦匡希、女優の山本舞香、松本若菜、K-1の武尊、東京五輪女子ボクシングの金メダルの入江聖奈、広島東洋カープの九里亜蓮、タレントのイモトアヤコ(伯耆町)、ガンバレルーヤのまひる(大山町)など、米子周辺の出身だけでも現在活躍する著名人はここに書ききれません。人間、いろんな輝き方はあると思いますが、それぞれの世界で有名になり、成功を収めることはやはり素晴らしいことです。ネット社会や交通の発達で、田舎に住んでいても中央に出やすい、チャンスを掴みやすくなったのかもしれませんが、自分の若い頃ならこれは考えられないことです。

 昔とは時代は変わりました。米子が変わったというよりは、どんな街に住んでても才能があれば中央に出ていけるし、世間に認められる時代になったという風に考えています。自分の人生、頑張るのは当然自分自身ですが、環境や周りの人間から与えられる影響は大きいですし、他分野であっても全国で活躍する郷里の先輩というのも影響は大きいはずです。次に続く後輩の存在、また文化面やスポーツなど他分野への刺激、さらには経済面でも影響に出れば、米子、その周辺地域にとっては好循環が生まれるのではないかと期待しています。自分もそんな存在に刺激を受けつつ、地域を支える、また多少盛り上げる存在になっていきたい、そう思ってます。

年をとるのも悪くない

少年老い易く学成り難し
一寸の光陰軽んず可からず

 遥か昔、高校1年生の一学期にクラスの担任の先生が黒板に大きくこの言葉を書いたことを思い出します。その時はただ年をとりたくないな、くらいの気持ちで黒板の文字を眺めておりましたが、自分もこの言葉をしみじみ感じる年齢になりました。まだまだ勉強が足りない一方で、日々新しく更新される知識についていくのは非常に大変なことで、これは大げさなことではなく気が抜けません。段々記憶力は低下しますし、勉強するにしても昔は1日くらい徹夜しても問題なかった体力も、かなり睡眠時間に依存するようになってきました。要するに年を感じることが多くなった訳ですが、しかし昔がよかったかというとそういう訳ではありません。

 今ブログを書いていますが、大学生以前なら文章を書くという作業を自らやること自体、全く考えられません。読書感想文、反省文、何にしても、コクヨの原稿用紙の半分書くのがやっとで、後は同じような内容を表現を変えてとにかく文字数を稼ぐ、『…と思いました』の連発、本当に文章を書くのが苦痛でした。ブログも後で訂正はしてますが、大体毎回30分もかからない程度で書いてますので、上手い下手はさておき、それを考えると大進歩です。ただしなぜこうなったのか謎です。研究、論文もこのペースで出来ればよかったのですが…。

 最近、昔自分が書いた資料やカルテ記載を目にすることがありましたが、知識も浅く、考えが整頓されておらず、要するに『あんまり分かっていないな、コイツ』というのがバレバレなところを見つけてしまいました。今、これが他の人の目に触れないことを毎日祈っています。そこはたまたまなのかしれませんが(と信じたいですが)、いろんな疾患に対しての基本的な考え方は鳥取大学第一内科に入局して、山本教授など先生方からカンファレンスなどを通じて改めて学びましたし、もう少しで医師になって約20年、この間の経験値はさすがに無駄になっていません(と思っています)。これがもし10年前に開業することになったら、若くていいこともあったと思いますが、今と全く違った開業スタイルになったでしょうし、想像がつきません。

 自分は今40代ですが、山陰労災病院の研修医の時、今の自分と同じ年代の先生方は何を聞いても教えてくれる、本当に頼りがいのある先生達ばかりで、常に目標にしてきました。自分も年を重ねて、そういった先生方に少しでも近づけるように日々精進する毎日です。日々年はとりますが、うまく年をとっていきたいです。

 

医院の今後の予定について

『よかったですね。いつからですか?』

毎日医院の玄関から新しい医院を眺めていますが、建築の進捗状況が思いのほか早く自分も驚きました。新医院は外観がほぼ完成し、窓から中の様子も確認できますので、患者さんから移転の時期に関して尋ねられることが多くなりました。今月にでも移転されると思っている方もおられましたので、一応そのことに関して書いておきたいと思います。

↑ 受付です。これもまだ完成ではありませんが。

 9月中に工事は終了しますが、10月中に医療機器などの搬入を行い、電子カルテの研修などのスタッフと一緒に準備もして、今のところ11月1日より新医院で新たなスタートを行う予定です。新しい医院への移行準備期間として数日間だけ医院はお休みなどを頂くことになると思われますので、また正式に決まりましたらご連絡いたします。何卒よろしくお願い申し上げます。

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