けんさく先生の日記

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2025.06.29

Look Back Again

 梅雨がもう明けたようで暑い日が続くようになりました。訪問診療をしていると、この時期になると窓際に風鈴を吊るされているおうちを何軒か見掛けます。私が大学生の頃、岩手県の南に焼石岳という山があり、部活で毎年この山を登ることが定例になっておりました。標高は大山より低いですがこの時期でも残雪があり、晴れていると周囲の沼地やお花がきれいで非常に素晴らしい山です。しかし岩手県内の山の中ではなかなかの体力を必要とする山のひとつで、部員一同、行きはテンションが若干低い状態で盛岡から東北本線の普通電車に乗って南に向かっていました。ただ途中の北上駅、水沢駅にはこの時期になると南部鉄器の風鈴が駅のホームに多数用意されており、電車のドアを開くと高い風鈴の音が涼を感じさせてくれました。音のシャワー浴びるような風鈴の音が私の楽しみでもあり、学生時代の夏の始まりを感じる瞬間でした。なかなか岩手に行かれる機会はないかもしれませんが、行かれる方には是非お勧めしたい、岩手の夏の風物詩です。

 先日その部活の後輩が盛岡で新規にクリニックを開業するとのことで内覧会の連絡をもらいました。もう盛岡に行くのも最後かもしれないと思い、日帰りで行くことを予定してました。しかし私が訪問診療でみている患者さんの状態が思わしくなく、結果的に当日の朝に行かないことを決定しました。開業医になってから約3年が経ちますが、その間一番遠くに出かけたところが鳥取市で、県外に出かけたのも松江に行った程度で、ほとんど休みの日もこの辺りにいますし、大体医院で本を読んだりしてます。なんかもう遠くに行って遊んだり気分転換することもないのかな、と学生時代など休みがとれた頃にもっと遊びに出ればよかったと後悔も多少してます。でもこのスタイルは誰かに指示されている訳でもなく、誰の影響を受けているのかというと、自分の父親以外の誰でもありません。子供の頃に休みの日に大山や松江に行ったりすることはありましたが、常に患者さんの状態を確認して外出していましたし、数泊の家族旅行などに出かけることはありませんでした。大体小さい頃から父が本を読んでいるか、書類を書いているか、寝ているか姿しか見たことがありませんでした。忙しい自慢、医者って大変でしょう自慢をするつもりはないですが、開業医っていうものはこういうもんだ、ということを自分の父の姿から学んだ気がします。

 政治の世界では世襲が時に批判を受けますが、医者の世界、特に開業医の世界でも世襲を批判的に言われることがあります。開業医は金が儲かるし、楽だから、子供にいくらでもお金をかけてでも医者にさせようとする、その批判は全否定するつもりはありません。ただし診療における報酬というのは以前と比べてそんなに増えていませんし、また雇用している職員に関しても昔と比べて十分に休みをとれる人員、環境を確保しないといけませんので、人件費などの問題を考えると、昔のいい時代とは若干違うようです。医者、特に開業医が儲からないとはいいませんが、建物や医療機器など、借金含め支出も大きいです。勤務医と収入の差を比較されることもありますが、一応経営者ですので格好のよい言い方をすればプレイングマネージャーですから、勤務医とやっていることがあまりに違うので比べようがないと思います。私は開業医として頑張っている父の姿を子供の頃からずっとみていましたし、父の代でこの医院をどうしても終わらせたくなかった、という思いが強かったので、最終的に医師になり家業を継ぎました。

 父とあまり性格が似ているとは言い難いですが、診療のスタイルは良い点は受け継いでいるつもりです。院長になった際に父に言われた助言は一つだけです。「患者さんの信頼を勝ち取れるように、頑張りなさい」この言葉を忘れないように、診療に励む日々を送っています。

 

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